関東での仕事が始まってから、毎週末上野公園に散歩に来ている。ここは幼いころ夢に出てきた場所であり、過去に行った”悩みを聞く旅”の終着地であり、かつて好きだった女性と花見デートをした人生の中でも思い出深い場所だ。
あの混乱の前最後の上野桜祭り。花見客でごった返す散歩道を、2人でレモンサワーを飲みながらゆっくり歩いていた。すると、桜の花びらがレモンサワーの中に舞い降りた。その瞬間の美しさはずっと忘れないと思う。
来年もまた行こうねと約束したが、桜祭りは中止になってしまった。そこから、その女性とはなかなか会えなくなり、やがて結婚の知らせを聞き、その恋は終わった。そして、今に至るまでそのことをひきずって生きていた。しかし、思い出の場所が日常の一部になっていく内に、ひきずっていたものが徐々に軽くなってきた。
先々週と先週末にも上野公園に行ってきた。先々週はほぼすべての桜がつぼみだったが、レジャーシートをひいた花見客が大勢いて盛り上がっていた。先週は8分咲きぐらいまでになっていて、人もさらに多く来て祭りの雰囲気だった。そんな中、2週間連続で、屋台でレモンサワーを買って一人で歩いた。ちなみにレモンサワーは普段全く飲まない。
感傷的になるわけでもなく、素晴らしい思い出ができたことに感謝の気持ちを持つことができた。そして、ひきずっていたものがほとんど、うまく流れていってくれたように感じる。その女性との出会いが、人生に導きを与えてくれたことを忘れてはならない。
これからも、素晴らしい思い出をたまにしのびつつ、ここでの休日を楽しんでいきたい。